うたかた日記

ゆく川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとどまりたるためしなし  鴨長明『方丈記』

『インド倶楽部の謎』有栖川有栖

有栖川有栖の作家アリス国名シリーズ。

いつになく妙に広告めいた本だった。複数の過去の事件(作品名)に言及したり、アリスが実在の元町うみねこ堂書林を訪問したり。この店は実際、作者を『インド倶楽部の謎』トークショーに招いている。どうやら40年来の旧知らしい。

それからファン垂涎”カレー記念日”の復活、しかもカレーに次ぐカレー三昧。「腐れ縁あるいはカレー友達」と言い換えつつ自他共にソウルメイト認定、なにこの異例のファンサービス!

他には、アリスの友人である火村准教授が臨床心理士に「あなたに的確に伝わる表現を見つけられない。何にせよ思考の立脚点が異なります(超訳「狭量すぎてお分かりいただけねぇなぁ」)」と切り捨てるシーンもちょっとめずらしい。基本、犯人以外には大人な対応できる人。おそらく相棒のアリスをいじめられてムカついたんだろうな。

一番の違和感が「女性を描いたらマネキン人形の学芸会」と(私の中で)噂の有栖川有栖がリアルに可愛いJK描いてますよ!可愛すぎて火村先生がうっかり「ちゃん」づけしてますよ。ホント色々驚かされる作品でした。

ちなみにミスリードが少なかったせいか犯人は後半なんとなく見えてきた。相変わらず動機や状況は説明できないけど、なんか怪しいと思ったら大体合ってる。火サス古参なめんなとドヤりたい。